フトアゴヒゲトカゲは、その温和な性格と人に慣れやすい特性から、初心者から上級者まで幅広い層に人気のペットリザードです。
オーストラリアの乾燥地帯を原産地とし、40~50cmほどの成体に成長するフトアゴヒゲトカゲは、爬虫類の中でも特に飼育しやすい種類として知られています。
飼育に必要なケージや照明、床材、餌などのアイテムを揃えることで、彼らにとって快適な生活環境を再現することが可能です。また、さまざまなモルフ(種類)も魅力の一つで、美しい体色や模様を持つ個体が多く、選ぶ楽しさもあります。
本記事では、フトアゴヒゲトカゲの基本情報や飼育に必要な用品、適切な餌の与え方、初心者でも簡単に整えられる飼育環境の作り方をわかりやすく解説します。
初めて爬虫類を飼育する方にも、すでに飼育を始めている方にも役立つ情報を網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください!
フトアゴヒゲトカゲとは?基本情報と特徴
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フトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)は、爬虫類の中でも特に人に慣れやすいペットとして人気があります。
その名前は、驚いたり威嚇したりする際に、顎の下を膨らませる姿から付けられました。温和で飼いやすく、初心者にもおすすめのトカゲです。
以下では、基本情報や種類(モルフ)、相場価格について詳しく解説します。
項目 | 詳細 |
---|---|
学名 | *Pogona vitticeps* |
原産地 | オーストラリアの乾燥地帯 |
体長 | 約40~50cm(成体) |
寿命 | 10~15年 |
価格相場 | 15,000円~(一般的なノーマルモルフ) |
性格 | 温和で人に慣れやすい |
フトアゴヒゲトカゲの種類と相場価格
フトアゴヒゲトカゲには、色や模様が異なる「モルフ」と呼ばれる種類が存在します。モルフによって価格が大きく異なり、一般的なノーマルモルフから希少なシルクバックモルフまで幅広い選択肢があります。
モルフ名 | 特徴 | 参考価格(円) |
---|---|---|
ノーマル | 野生種に近い茶色やグレーの体色。初心者向け。 | 10,000~20,000 |
スーパーレッド | 鮮やかな赤色が全身に広がる美しいモルフ。 | 16,800~64,000 |
ゼロ (ZERO) | 模様が一切ない純白の体色。 | 52,800~76,000 |
ウィットブリッツ | 淡い色合いで模様がなく、上品な外見。 | 76,800~88,000 |
レザーバック | 背中の棘が少なく、滑らかな体表が特徴。 | 20,000~ |
スノー | 白と淡いグレーのコントラストが美しいモルフ。 | 25,000~60,000 |
詳細は、フトアゴヒゲトカゲのモルフ(種類)と値段相場をご覧ください。
フトアゴヒゲトカゲの性格と飼育の魅力
フトアゴヒゲトカゲは、非常に温和で人に慣れやすい性格が特徴です。
爬虫類ながら、飼い主の手から餌を食べたり、名前を呼ばれると反応したりする個体もいます。
「なつく」というよりは、「慣れる」という表現が適切ですが、その姿はペットとしての魅力を十分に感じさせます。
フトアゴヒゲトカゲのケージとレイアウト
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フトアゴヒゲトカゲの健康を維持するためには、彼らの自然環境を再現することが不可欠です。
適切なケージや床材、照明器具、温度管理用品を用意することで、ストレスを軽減し、快適で健康的な生活環境を提供できます。
ケージ
フトアゴヒゲトカゲは、成体で40~50cmほどの体長に成長します。
そのため、十分なスペースを確保できる横幅90cm以上のケージが必要です。
彼らは地表性のトカゲであり、横幅と奥行きが広いケージが特に適しています。
ケージ内では温度勾配を作ることが重要なため、通気性と保温性のバランスが取れたものを選びましょう。
おすすめ商品|エキゾテラ グラステラリウム 9060
幅90cmのガラス製ケージで、前面開閉式ドアを採用。
通気性の良いメッシュトップを備え、温度や湿度管理が簡単に行えます。
掃除や給餌もスムーズに行える設計で、初心者にも扱いやすいケージです。
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床材
フトアゴヒゲトカゲのケージには、安全性と機能性を兼ね備えた床材を選ぶ必要があります。
床材は足場の安定性を提供し、湿度調整や見た目の自然さを向上させます。
ただし、細かすぎる砂は誤飲のリスクがあるため、適切な粒度のものを選びましょう。
おすすめ商品|カミハタ デザートブレンド
こちらは定番中の定番商品で、くるみの殻を粉砕して砂状にした床材です。
見た目もそれなりに美しく、天然素材のため万が一飲み込んでしまってもフンと一緒に排出されます。
おすすめ商品|エキゾテラ デザートベース
こちらは天然の土から作られた床材で消臭効果が高いイメージです。
細めと荒めの2種類で、個人的には2種類を混ぜて使用することで自然に近いレイアウトができるのでお勧めです。
60cm水槽の場合約3.0ℓ、90cm水槽の場合約6.0ℓ程度
照明器具 ( UVB・バスキング )
フトアゴヒゲトカゲは変温動物であり、日中の活動やビタミンD3の生成には紫外線と適切な温度が必要です。
ケージ内にUVBライトとバスキングライトを設置することで、自然環境を再現し、健康を維持します。
UVBライト
UVBライトはビタミンD3の生成を促し、カルシウム吸収を助ける役割があります。
フトアゴヒゲトカゲの健康を維持するためには欠かせません。
紫外線が無かったり、照射量が十分でないと、カルシウムを十分に摂取できなくなり、クル病などの病気になったり、頑丈な骨を生成できなくなります。
また、ケージ内を明るく照らすナチュラルライトを合わせて使用することをお勧めします。
おすすめUVB|ジェックス エキゾテラ レプタイルUVB150 26W
おすすめナチュラルライト|ジェックス エキゾテラ ナチュラルライト 13W
おすすめ商品|ソーラーグローUV 125W PT2192
紫外線とバスキングライトの両方を兼ね備えたハイブリッドライト。これ1つで日中の光を模倣できるため、設置が簡単で効果的です。
バスキングライト
バスキングライトは、フトアゴヒゲトカゲが体温調整を行う高温スポットを作るために必要です。
おすすめ商品|エキゾテラ サングロータイトビーム 75W
集中したバスキングスポットを提供し、体温調整をサポートします。長寿命で省エネ設計のライトです。
温度管理
フトアゴヒゲトカゲは外部環境の温度に依存するため、昼間と夜間の温度差を適切に管理することが重要です。
ケージ内で35~40℃のバスキングスポットと、22~27℃のクールスポットを用意し、温度勾配を作りましょう。
パネルヒーター
ケージ底部を温める保温器具で、特に夜間の冷え込み対策に適しています。
おすすめ商品|EXO TERRA (エキゾテラ) レプタイルヒートM
ケージの一部分を局所的に温めることで、フトアゴヒゲトカゲが自分で快適な場所を選べる環境を作ります。
EXO TERRA (エキゾテラ) レプタイルヒートM 爬虫類用シートヒーター 20W 耐久性 均一に暖まる PTCパネルヒ…
ケージ全体を温める保温器具
ケージ上部を温めることで、広範囲に熱を供給します。特に冬場や大きなケージに適しています。
おすすめ商品|エキゾテラ ヒーティングトップ
太陽光を模倣した保温器具で、均等に熱を供給し、大型ケージでも効果を発揮します。
サーモスタット
温度を自動的に調整するサーモスタットは、安定した温度管理のために必須のアイテムです。
詳細は、サーモスタットの詳細とおすすめ製品をご覧ください。
隠れ家(シェルター)
隠れ家は、フトアゴヒゲトカゲがストレスを感じた際に身を隠すための空間を提供します。また、温度勾配の中で快適なゾーンを確保するためにも役立ちます。ただし、隠れ家の設置が必須かどうかについては、飼育環境や個体の性格によります。
GEX EXOTERRA レプタイルロックXL
広い内部空間を持つ隠れ家で、フトアゴヒゲトカゲが安心して休むことができます。シェルターの上部はバスキングスポットとしても活用可能で、スペースを有効に使える設計です。
ビバリア バスキング&シェルター L
隠れ家機能とバスキングスポットの両方を兼ね備えた製品です。フトアゴヒゲトカゲに快適な環境を提供し、ケージ内のレイアウトを効率的に作ることができます。
水・エサ入れ
フトアゴヒゲトカゲの水分補給と餌やりには、倒れにくく掃除が簡単な水入れとエサ入れを選びましょう。
おすすめ商品|エキゾテラ フードディッシュ M
滑り止め加工が施され、餌がこぼれにくいエサ皿です。自然なデザインでケージのレイアウトに馴染みます。
EXO TERRA (エキゾテラ) フィーディングディッシュM PT2812 爬虫類用 えさ皿 自然の岩イメージ ひっくり返…
おすすめ商品|エキゾテラ ウォーターディッシュ M
広口設計で水がこぼれにくく、掃除がしやすい水入れです。常に清潔な水を提供できます。
適切なケージレイアウトと用品の組み合わせは、フトアゴヒゲトカゲの健康と長寿を支える基本です。それぞれの特徴を理解し、個体に最適な飼育環境を整えましょう。
フトアゴヒゲトカゲの飼育費用全部ではどのくらい?
フトアゴヒゲトカゲを飼育する際、「結局いくらかかるの?」という疑問を持つ方は多いはずです。
初めて爬虫類を飼育する方にも安心して準備を整えられるよう、用品ごとの価格帯を詳しく紹介しています。
初期費用(飼育に必要な用品と合計)
フトアゴヒゲトカゲを飼育するためには、まずケージや照明、保温器具などを揃える必要があります。以下は、主な初期費用の内訳です。
用品 | 参考価格(円) | 詳細 |
---|---|---|
ケージ(90cm以上) | 15,000~30,000 | ガラス製ケージがおすすめ。 |
UVBライト | 3,000~6,000 | 紫外線照射用のライト。 |
バスキングライト | 1,500~3,000 | 体温調節用の高温スポットライト。 |
床材(砂質) | 1,000~2,000 | 吸湿性が高く掃除しやすいもの。 |
保温器具(パネルヒーターなど) | 4,000~6,000 | 昼夜の温度管理に必須。 |
水入れ・エサ皿 | 1,000~2,000 | 倒れにくく掃除がしやすいもの。 |
その他(カルシウム剤、ピンセットなど) | 1,000~2,000 | 栄養補助用品や給餌用品。 |
合計 | 約26,500~51,000 | 初期費用の目安。 |
継続的な費用(月間の維持費)
フトアゴヒゲトカゲを飼育する際には、毎月のランニングコストも考慮する必要があります。以下に主な項目をまとめました。
項目 | 月間費用(円) | 詳細 |
---|---|---|
電気代 | 1,500~3,000 | 照明・保温器具の消費電力。 |
餌代 | 1,500~3,000 | 生きエサ、野菜、人工飼料。 |
床材交換費用 | 500~1,000 | 月1回の交換を想定。 |
合計 | 約3,500~7,000 | 月間費用の目安。 |
上記の費用は参考値であり、ショップや地域、飼育環境により変動します。あらかじめ予算を立て、適切な用品を選ぶことで、快適な飼育環境を整えましょう。
フトアゴヒゲトカゲに与える餌の種類
フトアゴヒゲトカゲは雑食性で、野菜から虫まで幅広い種類の餌を好みます。
しかし、成長段階に応じて与える餌の比率を調整する必要があります。
特に、ベビー期は動物性タンパク質が重要で、ヤング~アダルトでは野菜がメインとなる食生活へと切り替えることが求められます。
生きエサ
生きエサは、ベビーやヤングの成長期にとても重要な餌です。
コオロギ、デュビア、ミルワームなどが主に使用されます。
これらの昆虫は高タンパクで嗜好性が高く、フトアゴヒゲトカゲが狩猟本能を維持しながら健康に育つ助けとなります。
ベビー期
コオロギ(S~Mサイズ)、デュビア(Sサイズ)を中心に与えます。小さい虫を頻繁に与えることで、栄養を確保し、しっかりとした体に育ちます。
ヤング~アダルト期
デュビアやコオロギ(M~Lサイズ)を10~15匹程度。野菜と併せて与え、栄養バランスを整えましょう。
生きエサにはカルシウムが不足しているため、必ずカルシウムパウダーを添加してください。カルシウムが不足すると、骨格形成に支障が出たり、クル病(代謝性骨疾患)を引き起こすリスクがあります。
GEX EXOTERRA カルシウム+ビタミンD3 40g
カルシウムとビタミンD3が配合されており、骨格形成をサポートします。エサにまぶして簡単に添加できます。
生きエサの与え方について詳しくは、フトアゴヒゲトカゲの飼育に最適な餌と頻度をご覧ください。
野菜・果物
野菜は、ヤング期以降の主食として重要な役割を果たします。
早い段階から野菜に慣れさせることで、アダルト期にスムーズに草食中心の食生活へ移行できます。
おすすめの野菜
メイン野菜:小松菜、チンゲン菜、カブの葉、大根の葉(Ca:P比が高く栄養価が優れています)。
サブ野菜:サニーレタス、豆苗、オクラ(バリエーションを持たせるために活用)。
彩り野菜:ニンジン、カボチャ(嗜好性が高く、餌への興味を引きます)。
野菜を与える際は、細かく刻んでエサ皿に盛り付け、食べやすい形にしましょう。
また、Ca:P比が低い野菜についてはカルシウム剤を添加することで栄養バランスを補えます。
野菜についての詳細な情報は、フトアゴヒゲトカゲにおすすめの野菜と与え方|完全ガイドをご覧ください。
人工飼料
人工飼料は、栄養がバランスよく配合されており、主食または補助食として使用できます。
特に生きエサや野菜が手に入らない場合に便利です。ただし、同じ餌ばかりでは飽きる可能性があるため、時々生きエサや野菜を与えて変化を持たせましょう。
ビバリア レップカル 幼体フトアゴヒゲトカゲフード
ベビー用の完全栄養食。ふやかして与えることで、食べやすさと水分補給を同時に実現します。
ビバリア レップカル 成体フトアゴヒゲトカゲフード
アダルト向けの人工飼料で、野菜や生きエサと併せてバランスの良い食事を提供できます。
餌の頻度と与え方のポイント
フトアゴヒゲトカゲは、成長段階によって与える餌の内容や頻度を調整する必要があります。
ベビー期は動物性タンパク質を多く摂取する必要があり、生きエサをメインに与えます。
一方、ヤング期からアダルト期にかけては徐々に野菜中心の食生活にシフトしていきます。以下に、成長段階ごとの餌の与え方を表にまとめました。
成長段階 | 餌の内容 | 与える頻度 |
---|---|---|
ベビー期 | 野菜を補助的に与えながら、生きエサを好きなだけ。 | 毎日2回 |
ヤング期 | 野菜と生きエサを半々の比率で。 | 毎日1回 |
アダルト期 | 野菜を主食にし、生きエサは週1~2回。 | 週1~2回(生きエサ) |
適切な餌の内容と頻度を守り、フトアゴヒゲトカゲの健康を維持しましょう。
成長段階に応じた食事管理は、寿命を延ばし元気な生活を支える鍵となります。
肥満を防ぐため、適量を守りましょう。特にアダルト期では、餌昆虫を与えすぎると高タンパク・高脂質になり、腎不全や尿酸結石の原因となることがあります。
餌は直接与えるのがおすすめ
フトアゴヒゲトカゲに餌を与える際には、ピンセットを使用することで安全かつ効率的に給餌ができます。
また、ピンセットで餌を与えることで、フトアゴヒゲトカゲが飼い主に慣れやすくなる効果も期待できます。
おすすめ商品|スドー ハプクラフト バンブーピンセット
軽量で扱いやすく、フトアゴヒゲトカゲにとって安心感のある天然素材のピンセットです。
餌をしっかりつかめるデザインで、初心者にも使いやすいアイテムです。
ピンセットを活用して効率的に餌を与えたい場合は、フトアゴヒゲトカゲはなつく?なつかせる飼い方は?を参考にしてください。
餌の与え方を工夫し、フトアゴヒゲトカゲとの距離を縮めましょう!
まとめ
長くはなってしまいましたがいかがだったでしょうか?
意外と飼育に必要な設備は多いですが、一度飼育してしまうと魅力に引き込まれること間違いなしのかわいいペットです。
正しく飼育することで人にもなれて、長生きするパートナーとなり得るフトアゴヒゲトカゲ。
ぜひ飼育を検討してみてください。